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ダシャラタ王にとって、ラーマを失った衝撃はあまりにも大きく、彼は病の床についた。
そして、二度と元気を取り戻す事はなかった。
悲しみの中で、ダシャラタは若い頃の過ちを思い出す━━━。
◆◆◆◆◆
「いたぞ。あれを仕留めてやる。」
若い頃……狩猟に行った時の事だった。
獲物を発見したダシャラタが矢を放つ。
その矢は見事に獲物を射抜いた。
「よし!手応えありだ!」
仕留めた獲物を取りに向かったダシャラタは、そこに転がる獲物を見て茫然とした。
「わ……私は……何て事を……」
そこに転がっていたのは、動物ではなく人間だった。
修行をしていた若い男だった。
誤って人間を殺してしまった━━━。
そこへ現れた父親は、怒りに震えて呪いの言葉を投げつけた。
「お前も息子を失った悲しみの中で死ぬがいい!」
◆◆◆◆◆
ラーマが旅立って一週間の後。
ダシャラタ王はこの世を去った。
あの父親の言葉通り……
ラーマを失った悲しみの中で、ダシャラタは天へと召されたのだ。
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