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ずっと不在だったバーラタが帰って来た。
母親カイケーイーのした事、そして父親の死。
すべてを聞いたバーラタの怒りが爆発した。
「貴女は何て事をしたんですか!兄上を追放するなど卑劣な真似を……」
「で、でも貴方を王にするにはそれしか」
「王になるのは兄上です!そんな事の為にこんな事を……。父上を殺したのは貴女だ!貴女が私の母親じゃなかったら……命で償ってもらうところだ!」
泣き崩れる母親を尻目に、バーラタは森へと向かう。
「兄上、城へ戻って下さい……。父上は亡くなってしまいました……。どうか王位を継いで下さい……。」
「バーラタ……俺は戻らない。約束通り14年は森で暮らす。お前が王として国を治めろ。」
「でも兄上!」
「父上の面目にかけてそれだけは譲れない。」
いくら説得しても、ラーマは首を縦には振らなかった。
「分かりました……。では兄上のサンダルを頂けますか?」
「サンダル?」
「はい。兄上の代わりにしますので。」
首を傾げながらもサンダルを渡すラーマ。
宮殿に帰ったバーラタは、玉座にそのサンダルを乗せた。
王の印として、ラーマのサンダルが乗せられたのだ。
そしてバーラタは国を治める。
正当な王であるラーマが戻るまで、副王として代わりに政治を行うのであった。
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