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「ウチの人達って変な人ばっかだろ?」
短い茶髪をサラリと流し、ムゥに微笑を浮かべながら話し掛ける鷹眼の人物は零崎欺識。同じアザルトの中でも雰囲気が周りとは違い、かなり大人びている。
「まぁね。だけど、俺らの隊長があれじゃあ必然というか…」
ムゥは苦笑混じりに話すと、二人は自然にある場所へ視線を流す。
その先には、1つの一人用であろう大きさのテーブルの前に座り、腕を組んで俯いて――というより、ヘッドホンを頭に掛けて曲に入り浸っている――若い男がいた。
この男の名は晃刃。アザルトの特殊部隊「神風」の部隊長である。
「フン、フフン、フンフーン♪」
表情に若干の笑みを浮かべながら鼻歌混じりで曲にノっている様子だった。
「ま、俺らは休憩もらったんだ。ゆっくり休むとするか」
ムゥが上に向かって大きく腕を伸ばすと立ち上がり、頭を捻って首の柔軟をしながらテントを出ていく。
「さてと、俺も暫く出動はないからな。休むとするか……なぁ為應?」
誰もいない筈の背後に誰かに話し掛ける様な口振りで話すと、ちょうど向かいの椅子に座る女性が一人いた。
「気付いていましたか~」
えへへと笑う「為應」と呼ばれた女性は「では私もバイナラです」と言い残し、テントを後にした。
「ねぇーねぇー」
「ん?やあ、メリー。君は確か何処かへ行ったはずじゃあ…」
「この格好似合ってる?」
「ん、可愛いよ」
先程と同じ格好で似合ってるかを聞いて「可愛い」と言われたのにも関わらず大喜びするメリーの姿を見て欺識は、ただ静かに笑っていた――。
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