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当然だ。台詞だけを抽出すると素晴らしいものだが、そこには打算が渦巻いている。学校で自殺なんてされたら大問題だ。いくら校長たちがほとんどの責任を負うとはいえ、学校にいた職員たちもみんな幾分か責任を追求されることだろう。少なくとも一生出世出来なくなるぐらいには。ならばどう足掻いてでも高木の自殺を止めなくては! ……という風に、多少の差異はあれどこう考えていることだろう。間違いなく純粋に死んでほしくないないと思っているわけがない。
もしそうならこうなる前に助けようとしてくれたはずだし。
だって僕がこうなった理由は掃除屋を名乗る悪辣な学生たちによる暴力行為が原因だ。意味不明な理論と基準で僕をターゲットに選んでからずっと、毎日のように集団で僕を破壊しに来た。まずは肉体。次は人間関係。次は居場所。最後に存在。僕の持っていたもの全てを壊していった。あまりに耐えられなくて、助けてもらおうと相談だってした。秋山先生にも、だ。なのに助けてくれなかった。だからこれは必然。誰にも救われない残念な人間である『僕』を消し去って、何もかも捨てる。そして楽になるんだ。
「――おい、高木! どうした! 意識はあるか!?」
……ああ、どうやら僕はいつの間にか過去の巡礼に没頭していたらしく、その間ずっと放置されていた先生は僕に意識の有無を確認してきていた。
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