この青空に『 』を委ねて

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 ……ふう、言い切った。これでも短くしたほうだけど。  誰だって行動には多かれ少なかれ思考が伴う。ましてや人生の価格設定となれば膨大な量の演算と感情が必須要項となる。それを言葉として連ねると自殺するより先に餓死しかねないほどの時間を費やしてしまうので割愛しただけの話だ。 「……お前の言い分はわかった。そしてわかったからこそ言わせてもらう。お前は間違っている」 「はあ?」  思わず呟いてしまった。一体どんな面下げたら間違ってるなんて白々しく言えるんだ、この先生は。 「なにがあろうと、死ぬのは駄目なことだ」  ……この期に及んでなにを言い出すんだ。今さら感に溢れすぎてて呆れしか出てこない。 「人は常に誰かと繋がっている。もちろん高木、お前もだ。お前が死ぬことで誰かが悲しむんだよ。お前の親族も友人も、俺もな」 「綺麗事ばかり並べるなよクズ野郎。正直ウザいです。じゃあなんですか。他の人を悲しませちゃいけないから、僕は死んじゃいけないとでも? そのためにも僕は一生苦しんでろとでも言うんですか!」
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