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「助けてやれなかったのは確かに俺の責任だ。本当にすまない。だけど、別に死ぬ必要はないんじゃないのか? そんなに辛いなら学校を辞めたらいい。引っ越して、一度全てを清算したらいい。そして新しい学校へ行けばいいんだ。あいつらから逃げる手段なんていくらでもあるんだぞ」
「…………だからどうしたんですか。僕は逃げたいんじゃない、死にたいんだ。終わりたいんだ。
無視を一貫するつもりだったのについ反応してしまった。くそ、秋山先生がわかりきったようなことばかり言うから。
「終わりたい? それは今の自分をってことだろ。ならそれこそさっき俺が言ったように全部清算してやり直せばいい。なのにお前はそれをしなかった。それはつまり、まだここに居たいからじゃないのか? まだ今のお前を終わりたくないからじゃないのか?」
「だから、違う!」
僕の葛藤を簡単に片付けるな、苦しみを語るな、僕を決めるな! まるで、僕が何でもないことで悩んでたみたいに言うな!
しかし、僕の叫びが聞こえてないかのように先生は落ち着き払っていた。僕の叫びが赤子の泣き声であるかのように。仕方のないものだと捉えているように。
先生は大きく息を吐き、そして吸う。そうやって十分に間を作った後、淡白に、簡潔に、僕をあやすように言った。
「本当は、まだ死にたくないんじゃないのか?」
「…………………………」
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