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   洗い立ての洗濯物の様な香り。    不思議と安らぎを与えてくれるその香りを纏った人物、その時それがたまたま一人の女子高生であったというだけの事だが、僕はそれが気になって顔を上げ、僕の隣に座った女子高生を見た。    そこには僕と同じ様に何かの本を読む女子高生の姿があった。    その瞬間。    僕はその女子高生に目を奪われた。    肩まで伸ばされたつやつやとした真っ直ぐで綺麗な黒髪。    綺麗な中に十代のあどけなさの混じった美しいというより可愛らしいという表現が正しく、あと数年も経てば確実に美しくなるであろうと想像させられる横顔。    人の好みは人それぞれ、千差万別。    ある人から見ればそれは何処にでもいる普通の女子高生なのかもしれない。    またあるいは、といってもその女子高生がその様に見える人間は少ないとは思うが人によっては不細工であったり、酷く不細工に見える。という人間もいるかもしれない。    だが僕にとってそれはそうではなかった。    見えない何か、何者かによって心臓を掴まれ鼓動を一瞬停められたかの様な感覚。    人によっては、それを胸が『きゅん』とした。と表現する人がいるだろう。    どうやら僕は恋をしてしまった様だった。    一目惚れというやつを。    してしまった様だった。    べつに『男』という性別の人間が『女』という性別の人間に対して恋心を抱くという事自体は全くもって何の問題もなく、むしろごく自然な事だろう。    しかし、僕の恋の場合は問題があった。    僕が26歳の会社員で相手は完全な未成年。    してはいけない恋をしてしまった。    声をかける行為さえ怪しい人物とさえ受け取られかねないだろう。    もし仮にこの恋が何らかの経緯を経て成就したとして、女子高生と僕がデートをする様な事になったとしても、それは連れ回し行為、未成年者誘拐等の罪に問われかねないだろう。    もしもそんな事になろう事なら僕はたちまち犯罪者だ。    青い制服を着た大人の人達に鉄格子の中に放り込まれ、職を失い、この社会全てから変態やロリコンといったレッテルを貼られ生きて行く事になるだろう。
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