0人が本棚に入れています
本棚に追加
視線を感じてその発生源みたいなものに視線を向けると、机をくっ付けてきっとくだらない話に花を咲かせているであろう女子たちがいた。
わたしは不愉快そうな視線をチラリと向けてから自分の席に座る。
「そーらね♪」
「どぅあッ!?」
後ろから名前を呼ばれ、振り向く前に抱き締められた。
体重を支えきれずに前に傾いだ。
それなのに「大丈夫?」なんて言ってくる野郎。
大丈夫じゃねーよ、お前のせいでな!
と指を差して言ってやりたいところだが、我慢だ我慢。
「重いぃぃぃ…」
「なんだよ空音ぇ、潰された蛙みたいな声出して」
悪気の無いような声にわたしは怒る気なんて消え失せてしまった。
わたしは苦しいなかため息をついて、体に力を込めて起き上がらせる。
後ろから「およよ」と声を出している野郎にわたしは首を捻って抱きついてきた犯人を確認しようとした。
「やーん、空音くん顔近ーい。おれにちゅーする気だ」
「しねぇよッ!!」
パッと解放してから距離をとった野郎にわたしは声を荒らげた。
同性同士でするもんか。
…わたし元は女じゃん。
抱きついてきた変態野郎は蒼次や紅也とは違う男のようだ。
変態野郎に話しかけていくもう一人の男子は少し愉快に笑ってからわたしには話をふってくれた。
そして、わたしと二人は笑う。
男は気楽だ。
女はグループがどうとかがあって気楽でなんていられない。
女なんて、めんどくさいね。
すると、昼休みがあと5分であることを知らせる鐘が鳴る。
二人は「そろそろ」と言ってから自分の席に座っていく。
わたしは「じゃ」と二人に言って席に座った。
頬杖をついてぼーっとしながら教師が来るのを待ちながら、なんとなく机の中に手を突っ込む。
指の先に何かが触れた気がする。
その何かを取り出すと、なにやら手紙のようだ。
疑問に思いながらも可愛らしい封筒を開けて手紙を取り出す。
女らしく可愛らしい文字でこう書かれてあった。
『昼休みに校舎裏に来てください』
これはまさかまさかのラブレター?
女からラブレターを貰うなんて。
校舎裏なんて告白定番スポットじゃないか。
昼休みはもう終わりかけている。
もしもまだ待っていたとしたら。
わたしは立ち上がる。
みんなの視線が集まるが、気にせずに教室を飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!