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拍手をしながら満面の笑みを浮かべている見知らぬ少年とも少女とも言えるような人っぽいのが立っていた。
わたしと男はただただ無言でその人っぽいのを見つめる。
人っぽいのはわたしたちの反応が冷たいのを今更感じ取ったのか拍手が弱々しくなっていき、しまいには拍手を止めたようだ。
「あんた、誰?」
がっくりとしょげてしまっている人っぽいのに問いかけると、人っぽいのは元気を取り戻したのか仁王立ちし、背中を反らせる。
「ふふふん、僕の名前はドレミファソラシ“クルニィ”さ」
「や、そのドレミファソラシとか関係ないでしょ」
すると人っぽいクルニィは人差し指をちっちっちっという音に合わせて揺らした。
三度ほど揺らしてからその人差し指の先をわたしと男の間辺りに向ける。
「違うね。僕にとって全て意味のあることなのさ。ドレミファソラシも僕を更に輝かせる修飾語の一つなんだよ…!」
くだらないナルシスト話にわたしはため息をついて顔を右側に向ける。
「はいはい」と言わんばかりの仕草にクルニィは頬を膨らませた。
頬を膨らませたクルニィはなんだかかわいい。
性別不明だが。
「ところで、ここってどこ?あんた何者?わたし死んだんじゃないの?この男誰?」
「はいはい、はいはい。質問は一つずつ順番に答えていってあげるから、焦らない焦らない」
「うぜーよ早く答えろよキモいよムカつくよイラつくよ」
「僕は1000兆のダメージを受けた。僕のMPはあと-999兆9999億9999万9999しか残っていない。ちなみにMPとはメンタルポイントのことで、ツッコミは受け付けない」
コイツもうダメだ。
イカれてしまっている、狂ってしまっている、壊れてしまっている、もうどうしようもない。
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