最期ノ再開

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「君たちは数多の大切なコトを知らないまま死んでいった人間の一人なんだ。その中で選ばれたんだから、ラッキーって思わなきゃ」 ニコニコと不快な笑みを見せたクルニィにわたしは何度目かのため息をつく。 ため息をつくとその分幸せが逃げると言うが、わたしはおおいに歓迎だ。 むしろ逃げていってくれ、幸せ。 「それじゃ質問4、この男は誰か。答え4、この男は山野 大地くん。君を選んだ僕に選ばれた者さ」 大地とやらに目をやると、無表情な顔で逸らしもせずにじっとこちらを見てきたので堪えきれずに目を逸らす。 何だあいつ、何かおかしいよあいつ。 機械っぽいし人形っぽい。 本当に生きてんのか不安だ。 顔色も悪い気がするし、生きているのか? あ、生きてるって言ってたんだった。 「そんで、君たちにはその大切なコトを探してもらうわけだけど。あと10秒で心の準備してね」 「は!?10秒とかいきなり過ぎない!?」 「じゅーう」 勝手にカウントダウンを始めやがったあの野郎を見つめていた顔を大地に向ける。 大地は釣られるようにこちらを見た。 わたしはそうとう混乱しているようだ。 これから何が起こるのか何をすれば良いのかとかさっぱりわからないまま、わたしはあとわずか5秒のところで息を吸った。 「わたしは宮川 紗輝。これからが、頑張ろう!」 何を頑張るというのか、自分に問いかけても返答は無いまま大地に手を出していた。 大地は変わらず無言無表情の無のパレードでわたしの手を握る。 「ぜろ!それじゃ、二人共いってらっしゃあい!」 右腕を耳につくまで高く上げて、その割りには手首だけ使って手を小さく振ったクルニィ。 そんなクルニィを見て何か言ってやろうと思ったが、それは遮られる。 視覚や聴覚がノイズに支配されたからだ。 よくはわからないが、わたしは倒れたんだと思う。 ドサリと倒れた音をたてたから。 薄れゆく意識の中感じたのは。 大地に握られているであろう右手から感じる温もりだけだった。
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