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週4日出勤で始めた夜のバイト、朝と夜の逆転生活でかなり疲れていたが、1ヶ月ほどたつと少し慣れてきた。
大体のお客は仕事帰りのサラリーマンや、常連のお客が多かった。
「いらっしゃいませ」
待機室に居ると入り口から声が聞こえてきた。
「ゆりちゃん行って行って、冷子ちゃんとマリナさんも」
待機室のドアを開け、鬼のような顔をした店長が呼んできた。
「あ、はい。」
明るく返事をし、ゆりさん、マリナさんの後を着いて行った。
店の女の子はわりかし多く、ゆりさん、マリナさんとは今日初めて会った。
席まで行くと二名の男性。なんだか違和感を感じる。二人とも、初めて見る顔だった。
一人はサングラスをかけ、顎が尖った柄の悪そうな男性。
長いシャツにズボン、私服だ。
小柄だが目が見えず異様なオーラがあり、かなり怖い。
もう一人はサラサラした髪を流すように整え、清潔感が溢れたスーツ姿。。背が高そうに見える、顔も優しそうだ。
二人は対面するようにソファーに座っていた。
この組み合わせは一体…。
とゆうより、サングラスの方に出来れば座りたくなかった。
サングラスが上座に座っていたこともあり、先に歩いていたゆりさんとマリナさんが、「いらっしゃいませ、失礼します」とサングラスを真ん中に挟んで座った。
私も一声かけ、安心しながらスーツの横に座った。
「はじめまして、ですよね。冷子です。お名前伺ってもいいですか?」
「あっ冷子ちゃんね、俺は鹿野っていうよ」
「鹿野さんですね。下のお名前は?」
満面の笑みで聞いてみた。
「下は夏彦だよ」
これが夏彦との最初の出会いだった。
「夏彦さんですか、じゃあ、なっちゃんですね」
「そんなの言われたの生まれてはじめてだよ」
と夏彦は笑顔で返してくれた。
夏彦は26歳、冷子より2歳年上だった。
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