ユメ

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「紅さん」 「ん?」 「俺たちに出来ることなんて、あると思う?」 「…さぁな」 「んふふ」 「…クロ?」 「…あるわけないよ。そばにいたって、俺なんかには何も出来ないんだ。」 「そんなこと…っ」 「じゃあ!俺に何が出来るっていうんだよ!」 ごめん。 ごめんね、クロ クロのこと、 苦しめちゃってるね。 「…確かにお前には何も出来ないかもしれない。」 「……っ」 「でも、そばにいたいんだろ?たとえ、何も出来なくても」 「…はい」 「だったら、迷うな!」 「紅ちゃん…」 「守りたいんだろ?蒼くんを」 「…うん」 自分のことしか見えない俺は、 なんてバカだったんだろう。 翠ちゃんの存在にすがりついて、立ち直ろうともしない。 現実と向き合わず、 事実を突きつけられれば、 そこから逃げるようにパニックを起こした。 ごめん、クロ クロの想いに、 気づかないでいてごめん。 .
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