20人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
何故なら視線の先には、不気味としか表現できないぐらい満面の笑みを顔に張り付けた龍星が居たからだ。
それをあまり龍星の事を知らない人物が見たならば、子供のような可愛らしい笑みに見えただろう。
しかし紅也は五年以上龍星の近くにいる、その笑みが意味することがなんなのか、嫌でも知っていた。
そして心の中で未だ顔を知らない薬屋大助と言う少年に同情し、また合掌する。
「な、なんで笑っているのかしら…?」
あまりにも不気味な笑みに思わず顔をひきつり一歩後退してしまう。
そんな利菜の肩に手を置き、首を降る紅也。
「知らぬが仏だ…トラウマになりたくなかったら、聞かないことをおすすめしよう。」
それほどの事なのかと思ってしまうと同時に利菜もまた心の中で合掌する。
どうやら自分のクラスメイトは、やってはいけないことをしでかしてしまったのだと…
結局何故薬屋大助を知っているのか聞けなかった(聞こうとする自体無理だった)が、職員室に着くまで龍星の笑みが消えることは無かった…
最初のコメントを投稿しよう!