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「喧しい。」
そして今度は握った右手を降り下ろす。
それだけで、今度は黒コート達が見えないハンマーで叩かれたかのように叩き潰される。
動作そのものは統一されてないが、虫をけしかけた男と同じ潰され方だ。
誰一人それ以上の悲鳴を挙げる暇もなく気絶した。
「さて…」
男は気絶した者逹を一瞥した後、ゆっくりとその場を後にする。
彼がこの街に来ている理由はただ一つ、あるものを見つける為だ。
“それ”は彼にはある意味因縁が深いものであり、またちょっとした“悪戯”を兼ねたもの。
最も“それ”は、一応は人間なのだが…
「さて…どこに居るのやら…」
辺りを見渡しながら歩くその姿。
長身で、細身ながらもしっかりと筋肉を付けた身体に無駄は無く―
純白のロングコートを羽織り、真っ白なジーンズを身に付け、ロングコートの下は何も着ておらず上着の代わりに隙間無く雪の様に白い包帯を身体に巻き付けるその姿―
顔すらも包帯で覆い、唯一でた右目は爛々と紫に輝く―
その姿は、本当に同じ人かを疑わせるような威圧感を放っていた…
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