20人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよう、ん?薬屋は遅刻か?珍しい…」
確かに珍しい、薬屋大助が遅刻したことなど利菜自身見たことがない。
ただ今日は事情を知っている、言う気など更々無いが。
「まぁいい、それよりもだな…」
一旦言葉を切り、わざとらしく咳き込む担任に思わず疑問の視線を向けてしまう。
「実は…今日二人転校生が来た、それも男子二人だ。」
途端に上がる歓喜と落胆の声、誰が上げたかは言う必要は無いだろう。
ただ一人だけ、思いっきり顔をひきつらせているが。
(ま…まさか…)
男子二人の転校生、その言葉を聞いた瞬間とある二人の少年が浮かび上がる。
――そう言えば今日転校生してきたとか言っていたような、と今朝言われた言葉を思い返し。
(薬屋…本気でご冥福をお祈りするわ…)
この場に居ない優等生に本気で内心合掌したところで…
「じゃあ二人共、入ってきてくれ。」
担任が廊下に向けそう告げると教室の扉が開き、二人の(出来れば違ってほしかったと密かに利菜は思った)男子生徒が教室に入って来た。
最初のコメントを投稿しよう!