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暫く無言で車を走らせていたが
沈黙に耐え切れなかったのか
バックミラー越しに私を見ながらパパが口を開いた
「瑠美花…久しぶりだな」
私はそれに答えず黙って窓枠に肘をつき
そっぽを向き怒りを露わにしてやった
「やっぱり…怒ってるよね…」
当たり前だと叫びたい気持ちもあったが
気弱な相手の態度にそうするのも馬鹿らしくなって
「わかってんなら、どうして学校に来たの」
窓の外に目を向けたまま静かにそう尋ねた
学校には会いに来ない
それは今の学校の中等部に入学する時に
過去を隠して生活すると決めた時に
親子で交わした約束だった
「だって先に約束破ったのは瑠美花じゃないか
メールしても返信くれないし
電話しても…着信拒否されてるし」
どうやらその件がすごくショックだったらしく
『着信拒否』の言葉だけが妙に小さくなっていた
確かに『約束』の条件は連絡を閉ざさないことであり
その為に携帯電話も買い与えられ
今、私の手元にある携帯もそれの3台目なのだが
でも私がそうせざるをえない状況を作ったのが悪い
「メール着拒しなかっただけ感謝してよ」
「うわっ、そんな恐ろしいことも出来るの」
チラリとバックミラー越しにその顔を盗み見ると
本気で顔を青ざめさせているパパが見えた
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