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「ねぇリオ、どうしてここが?」
自分の前を進むリオの背中にそう問いかけると
リオはピタリと足をとめた
「コイツらだよ」
入り口に一番近いソファ席
そこにいたのは校門前で別れたはずの3人と剛志くん
どうして……
「コイツらお前が無理やり車に乗せられたって
誘拐されたって勘違いしてここまで追いかけて来たんだとさ」
車に乗り込むとこ見られてたんだ
「ルミちゃん…あの人ルミちゃんの何なの?」
ゆっくりとその場に立ち上がり桜子が尋ねてきた
私はビクリと身体を震わした
「私…あの人知ってるよ
パーティーとかでよく見かけるから
…あの人、岩国屋の社長だよね」
桜子の言葉にソファに座っていた残りの3人が驚きの目を桜子に向けた
「ちょっとそれ本当なの桜子?」
「岩国屋ってあのデパートの岩国屋だよな?」
「姫乃木の言葉からしてそうだろうな…」
その反応に私の身体は更に震えた
「どうしてそんな大企業の社長さんと瑠美花が知り合いなの?」
美羽ちゃんの言葉を合図に皆の視線が自分に向いた
皆が私の答えを待っている
『あれは私のパパ』
その一言を出すのはとても勇気がいる
それを認めれば今まで作り上げてきたものが台無しになるから
私が中学入学から作り続けてきた理想の自分
ただ平凡に学校に通い友達と笑って
放課後は部活したり寄り道したり
そして恋をする
社交界も大企業の後継ぎ問題も何も関係ない
平凡な女の子『杉山瑠美花』が私の憧れた私だった
でもどんなに装っても
私には岩国の名前が重くのしかかる
もう普通の女の子で入られないのかなぁ
「みんな…ごめんね」
震える喉からそれだけ振り絞ると
私は入り口に向かい駆け出した
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