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まだ幼さが残る娘を片腕に抱えて降り立った、神々しいほどの美しい大妖。
その大妖が足を降ろした場所は膨大な土地に建つこの屋敷と西国を統べる主である。
「殺生丸さま!りん!」
緑の小妖怪が嬉しそうな表情を隠さずに足早にその二人の元に向かった。
状況が把握できないらしい屋敷の従者達が目を丸くさせて一切の動作を止まらせて不思議な三人を見ていた。
誰かが我にかえったように小声で呟く。
「人……間………」
瞬間に辺りがざわつき始め、緑の小妖怪……邪見が小さな体を振り回し大声で怒鳴るがざわつきは次第に大きくなっていく。
殺生丸という名の大妖が鋭い視線で従者を黙らせた。
「りんだ。」
低くよく通る声が静まりかえった空間に響いた。殺生丸より一、二歩下がっていた娘が前に出てお辞儀をする。
「あのっ…りんです!」
深々と立礼をしてから笑顔で自分の名をいう。
従者は隣同士、顔を見合わしてまた喋りだそうとするのを殺生丸の一瞥でまたもや黙らせた。
「よろしくお願いします」
無邪気な笑顔に従者は息を詰まらせた。
屋敷の中を歩いて行きある場所に着いた。
「沙羅」
殺生丸がそう名を呼ぶと、黒髪の女性が出てきて頭を下げた。
「りんだ。世話をしろ」
一瞬驚いたようにしたが、御意、と返事をしてりんに微笑みかけた。
邪見がりんに、注意事をちびちび言った後に心配そうに、じゃぁなと言ってどこかに行った。
りんは寂しそうな表情を今間見せたが、沙羅に笑顔向けて
「りんです!」
と言った。
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