297人が本棚に入れています
本棚に追加
その頃は大広の間では、一番奥の高いところに殺生丸、その段の下に邪見、そして真ん中の場所を開けて列正しく並んでいる数多い従者がいた。
静まりかえっており、従者皆々、殺生丸の発言をまっていた。
「りんを、娶る」
いっさいの表情をあらわにせずに殺生丸はみなに聞こえるように言い放った。
辺りから、驚きの声や反対の声があちらこちらに散らばる。
「正気でございますか!?あの娘は人間ですぞ!?」
この屋敷に闘牙王の頃から仕えていた重臣らが殺生丸に言う。
もしも、昔の殺生丸にこう言おうものならば瞬殺であるがここ最近、変わっている事を承知の上で言っていた。
「黙らんか―!!」
邪見が思わず立ち上がって反論しようとするが口々発する言葉達の声量で中々声が全員には聞こえずにいる。
「ましてや、人間の娘なんぞを正妻にしやるなんて」
「前の君さまでさえ、側室程度にとどめていたのですぞ」
「正妻はやはり妖犬の純血な血をひくお方に―……」
尋常ではないほどの殺気が部屋をしめた。
黙らなければ殺すと暗黙に指示しているのである。
最初のコメントを投稿しよう!