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心配そうに見つめるりんに沙羅は
「何でもないですよ」
と言った。
その後に鼻を、微かに動かす。
「そろそろ、夕餉の時間らしいですわ」
「わぁ―…お夕餉―!
あたし、おなかが空いていたの!」
「夕餉を頂くお部屋にご案内いたしますね」
沙羅の後にりんがついていく。
良い香が近づき、りんの空腹がより鮮明になった頃にやっとつく。
空いていた前の座敷にすわってまじまじと用意されている夕餉を見た。
沢山のみずみずしい果実や山菜。美味しそうに調理されて思わずよだれが出てしまいそうなものが並んでいる。
「豪華な食事―…」
感嘆の声をあげて喜んでいるりんの様子んみた沙羅が微笑む。
「あれ………?
殺生丸さまは……?」
りんが辺りを見渡して殺生丸を探すがどこにも見当たらない。
シュンとうなだれて不安が心を占めた。
「お館さまは多忙なお方ですからね……
それに……」
「それに……?」
「あっ、いえ。今はもっと忙しいですからね」
「そっか―…」
(あたし、殺生丸さまが忙しい時期に西国に来ちゃったのかな―………?)
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