78人が本棚に入れています
本棚に追加
『その純潔、犯してやるっ! ……縋らせてやろう、憐れな少女』
『……私の純潔は誰にも奪われないわ……』
『戯言を……。その目が俺を狂わせる……。……今に分かるさ……、自分の置かれた立場が……。そして、屈するんだ、無力さに、この俺にな……』
彼女は澄んだ瞳で真っ直ぐに彼を見返した。
その瞳には歪んだ彼の顔がユラユラと波打つ。
瞬きをしても、穢れなき彼女に絶望の染みは広がらない。
『身を許しても、この心だけは譲らない』
腕の自由も、身体の自由を取り上げられても彼女は尚そう言う。
減らない口。その唇は禁断の果実のように真っ赤であった。
彼はむしゃくしゃした激情を体重毎彼女にぶつける。
『んんっ……』
強がっていても合わさった唇からは吐息しか漏れない。
口を開けば舌が音を立てて絡み合った。
あまりに動く彼女の両腕をネクタイでベッドに括り付ける。
漸く青ざめて身体を揺する彼女に彼は薄く笑う。
『良い顔だ……』
彼は一筋の涙が伝う頬に指先を添えて優しいキスをした……。
最初のコメントを投稿しよう!