プロローグ×crazy思考

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『その純潔、犯してやるっ! ……縋らせてやろう、憐れな少女』 『……私の純潔は誰にも奪われないわ……』 『戯言を……。その目が俺を狂わせる……。……今に分かるさ……、自分の置かれた立場が……。そして、屈するんだ、無力さに、この俺にな……』  彼女は澄んだ瞳で真っ直ぐに彼を見返した。  その瞳には歪んだ彼の顔がユラユラと波打つ。  瞬きをしても、穢れなき彼女に絶望の染みは広がらない。 『身を許しても、この心だけは譲らない』  腕の自由も、身体の自由を取り上げられても彼女は尚そう言う。  減らない口。その唇は禁断の果実のように真っ赤であった。  彼はむしゃくしゃした激情を体重毎彼女にぶつける。 『んんっ……』  強がっていても合わさった唇からは吐息しか漏れない。  口を開けば舌が音を立てて絡み合った。  あまりに動く彼女の両腕をネクタイでベッドに括り付ける。  漸く青ざめて身体を揺する彼女に彼は薄く笑う。 『良い顔だ……』  彼は一筋の涙が伝う頬に指先を添えて優しいキスをした……。
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