元(もと)

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「ねぇ?克法君…」 「ん?」 「何…これ……」 「何って」 俺が夏琉の前に出したモノ… それは 「飯だろ…?」 「ご飯なの!?」 俺は料理などしたことがない 自分では気にしていないが、夏琉が言うにはどうやらもはや『食べ物』ではないらしい… 「でも、ありがと」 ニコッと笑う夏琉… 「い、いや…別にたいしたことじゃない…」 「でもこれ食べられないから捨てるよ?」 あ…捨てるのかよ… ありがとと言っておきながら捨てちゃうんだ… 俺は中学生時代、クラスの奴からいじめというのを受けていた 教科書を破かれて捨てられてるとか、上履きを隠されたなんて日常茶飯事で… 担任も見て見ぬふりをしていた 先生なんて所詮自分の事しか考えない… いつしか俺は人を信用しなくなって、人とも喋る事さえなかった 家で両親とさえ話さない 話しても無駄だったから… 母親には俺を産んだ事を後悔してたみたいだし 父親は俺の顔を見るとむしゃくしゃすると言って毎日殴られた 「なんで……産まれてきたの?あんたさえ居なきゃ私はこんなに苦しまなかったのに……どうして…」 実の母親に言われたこの言葉… 「お前…うぜぇんだよ 毎日毎日俺の顔見やがってよぉ…どうせお前なんか親がいねぇと生きてけねぇんだろ?だったら…」 最後に言われた言葉… それは誰に対してでもなく、ただ自分の息子に向かい 「死ね」 と言われる… 黙ってると当たり前のように殴って来る 俺は何も言わずにただじっと堪えているしかなかった… だが父親は他人に見えるような所に傷は作らない バレるとでも思ったのだろう… しばらく俺は部屋へと篭ることが多くなった その時にちょうど向に住みはじめたのが 夏琉と家族だった 挨拶で一回俺の家へときた 俺の両親は気前が良さそうな感じで外へと出る 「私達にもね、あなたと同じぐらいの息子がいるのよ」 「じ、じゃぁ僕明日の朝から来ても良いですか?一緒に学校に行きたいんです」
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