1章~何で登んなきゃいけないのよッ!~

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俺と光は小学校では同じ習い事の教室。塾もだ。中学校でも同じ部活だった。 五十音順に並んだ時に近かかった事も関連してる。 「なぁ、宙は何部に入るんだ?」 「パンフレットに書いてあったから分かるだろうが?」 投げやりに言った。でも、光なら意味が分かるはず。 「美術部?」 俺は頷いた。 「光だって入るんだろ」 俺と光のもう一つの共通点。それは、美術部。中学の美術部は、女ばっかりで男は光と俺だけ。 小学校の時も、同じ絵の教室だった。 「やっぱし、ガキの頃から好きだったもんだから、今さら捨てられねぇよ」 「俺もだ。……それより、行こうぜ」 光の始めた会話に疲れ始めたし、時間が近い。俺は光を引っ張って自分の席に着いた。 「おいおい、宙。まだ時間あるんだから、外でしゃべっててもいいじゃんよお」 後ろから口を尖んがらせて言うそぶりは、小学校の入学式の時と似てた。
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