1章~何で登んなきゃいけないのよッ!~

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あの時も俺が前で光が後ろ。光が後ろから暇そうに話しかけて来た。 本当、いつになってもかわんない。 「もう少しで始まるんだから、大人しくしていろ!」 俺は、あの頃も似たような言葉で返したんだ。特にあの時は子供だった。ツンツンしてて、何処か普通からズレていた。 おかしいって意味じゃなくて、個性的って意味で。 「ぶー……。ピーポー、ピーポー」 拗ねた後はパトカーだか救急車だか知らないが、効果音を真似ていた。前言は撤回するべきかも。 「あー……、保護者の方々は携帯電話の電源をお切りになるか、マナーモードにして下さい……」 やっと始まったかと思って期待したのに、親達に対してのマナーの放送だった。 俺の様子を見て、ニヤニヤしている後ろにいるあいつがムカツク。 「では、平成○○年度、華ノ宮高等学校の入学式を始めたいと思います」 俺はニヤッとして一瞬、後ろを振り向いた。俺の勝ちだな。
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