Chapter 1

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「何で俺、リーンベルを助けたんだろ・・・。」 自然と言葉に出てしまう疑問。 後悔なんてしてない。 だけど・・・。 ―私は運命を受け入れる― あの言葉が過ぎる。 あの少女は・・・。 「・・・・・・・。」 ゼファーは頭を振った。 「俺は・・・死を選ばなかっただけ・・・?」 ―神様の否定― 「・・・・・・。」 沈黙してしまう。 なぜ自分だけが生きているのか。 なぜ・・・。 音もない、自分の感傷に浸っていた。 聞こえるはずの周囲の音は、今のゼファーには届かなかった。 「リーンベル・・・」 ふと浮かぶ、あの時の少女。 黒くて長い髪。 悲しみに染まっていた瞳。 それが、輝きに変わった瞬間。 忘れてはいなかった。 だから、名前が自然と出た。 「・・・・・・。」 ゼファーは自分の部屋の窓から外を見上げた。 青空が広がっていた。 どこまでも澄んだ、晴れた空。 今の自分と真逆だった。 今のゼファーは、曇っていた。 そして・・・。 枯れ果てたと思っていた涙が、すっと流れた。 「なんだよ・・・これ・・・・・・?」 戸惑うしかなかった。 泣くことなんてなかった。 少なくとも、幼少時代からも・・・。
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