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「何で俺、リーンベルを助けたんだろ・・・。」
自然と言葉に出てしまう疑問。
後悔なんてしてない。
だけど・・・。
―私は運命を受け入れる―
あの言葉が過ぎる。
あの少女は・・・。
「・・・・・・・。」
ゼファーは頭を振った。
「俺は・・・死を選ばなかっただけ・・・?」
―神様の否定―
「・・・・・・。」
沈黙してしまう。
なぜ自分だけが生きているのか。
なぜ・・・。
音もない、自分の感傷に浸っていた。
聞こえるはずの周囲の音は、今のゼファーには届かなかった。
「リーンベル・・・」
ふと浮かぶ、あの時の少女。
黒くて長い髪。
悲しみに染まっていた瞳。
それが、輝きに変わった瞬間。
忘れてはいなかった。
だから、名前が自然と出た。
「・・・・・・。」
ゼファーは自分の部屋の窓から外を見上げた。
青空が広がっていた。
どこまでも澄んだ、晴れた空。
今の自分と真逆だった。
今のゼファーは、曇っていた。
そして・・・。
枯れ果てたと思っていた涙が、すっと流れた。
「なんだよ・・・これ・・・・・・?」
戸惑うしかなかった。
泣くことなんてなかった。
少なくとも、幼少時代からも・・・。
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