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「え、エルシア。知り合いなのか…?」
「はい!キサリ様はサイレス様の実の娘さんで、私の友達なんです!」
王様の…娘さんですか?
いやでも、それならなんで王様の椅子に座ってるんだ?
「どうなさったんですか?さあ、中へいらっしゃいよ」
娘さん、キサリとかいう人に促され、俺たちは中へ歩みを進めていく。
「勝矢さん、気を付けてくださいよ…」
不意にエルシアがそんな事を言ってきた。
は?気を付けるって、何を?
エルシアの発言に疑問を浮かべたその時
―カチン
俺の足の下から、そんな音が聞こえてきた。
……ん?カチンって?
「…ッ!全員よけろ!!」
すぐ後ろから鋼輝の鋭い声が響き、何事かと思った途端、頭上から何かが迫ってくるのを感じた。
巨大な何か。俺がそれを目にした瞬間、目が点になって冷や汗が顔全体から噴き出した。
「ヤバッ…!!みんなかわせぇぇ!!」
俺も叫び、近くにいたエルシアを脇に抱え、隣にいた波瑠を抱き寄せて横に飛び退いた。
飛んだ一瞬、俺の足先に何かが触れるのを感じたと同時に、大きな金物のような物が豪快に壊れたとんでもない音が、このホールのように巨大な部屋に響き渡った。
「……う…だ、大丈夫か?エルシア、波瑠」
「だ、大丈夫です…」
「う、ウチも大丈夫やけど…勝矢こそ、大丈夫か?」
「何が?」
「いや…ウチの下敷きになって…」
「別になんとも。構わねーさ。それより、一体何が落ちて……………」
上にいる波瑠を乗せたまま体を起こすと、そのあまりに衝撃的な現場に、俺は言葉を失った。
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