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「離しぃやちょっと!こら勝矢!!」
ジタバタもがきながら俺の手を振り解こうとする。
一向に諦めない波瑠に少し苛立ちを覚えだした俺は波瑠の手を握ったまま 波瑠の方に振り向く。
「いい加減にしろよ波瑠。いつまでもガキみてーに我が儘言ってんじゃねーよ。終わりって言ったら終わりだ」
少し強めの口調で波瑠に言う。真っ直ぐに波瑠の眼を見つめながら。
「…………」
波瑠はムスッと表情を曇らせ、俺を上目遣いで睨みつけてくる。
そんな波瑠を見つめ、俺はため息をついて口を開く。
「波瑠。はっきり言うと、俺はこれ以上お前に戦ってほしくないんだよ」
「…なんで?」
「傷付いてほしくないからだ。確かに戦いってのにはケガは付き物だ。けど、戦わなくていいのに戦ってケガなんてしてほしくないんだよ。俺は、お前の傷付く姿なんてみたくないから」
自分の気持ちをそのまま言葉にした感じで波瑠に言う。
これが正直な気持ち。けど、実際に言ってみると恥ずかしい事この上ないな…
キザなセリフ吐いちまったぜ……
「…うっ…そ、そないな顔で言わんといてーや…」
波瑠は俯いて地面を向きながら、ぽつりぽつりと呟く。
黒い髪の間からは真っ赤になった耳が見えている。
「………わかったわ」
「!。わかってくれたか。よかったよかった」
安堵のため息をつき、俺は波瑠の手を離した。
波瑠はナイフと拳銃をそれぞれポケットと太ももに装着してあるホルダーにしまい、みんながいる所に歩いていった。
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