4181人が本棚に入れています
本棚に追加
「アナタとは、気が合いそうね」
口を開くと同時に、女は真っ直ぐに手を体の前に伸ばし、掌(てのひら)に鳳力の青白い光が集まっていく。
それは少しずつ形をかたどり、女はそれを握る。
握っている柄のような部分から、先端にかけて細くなっているステッキのような物を左右に振り、床に突き立てる。
「あたしの名前はミージェ。仲良くしましょう?」
ニコッと笑みを投げ、名乗る女、ミージェ。
その笑顔を見て、俺は小さな違和感を感じた。
…あの人、どっかでみたことあるような気がする……
「…それじゃあ、始めましましょか?」
「よろしく頼むわ、ミージェさん」
蒼菱は日本刀を両手で握り、ミージェはステッキを右手で持って真っ直ぐに蒼菱に向けて構える。
少しずつ摺り足で近づいていく蒼菱の表情は固く、ミージェを警戒するように緊張感が貼りついている。
それとは打って変わって余裕すら見せるミージェは 微笑みながらそんな蒼菱を見つめる。
「………」
「………」
お互いが無言で見つめ合う、その時、
「―ッ!!」
ぐっと体を沈め 蒼菱は刀を構えて駆け出す。
それにすかさず反応し、ミージェは右手を軽く振り、ステッキを振るう。
「…ッフ!」
一直線に突っ走りながら蒼菱は刀を、風を切り裂き 真上から振り下ろされる。
ミージェはそれを軽く 細いステッキの先端で受け止め、そのまま刀を滑らせるようにいなした。
最初のコメントを投稿しよう!