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それにより体制が崩れた蒼菱の背中に向け、ミージェはステッキを素早く振るった。
しかし、何故かミージェはすぐさま後方に飛び退き、蒼菱から距離をとった。
確実に当たると思ったのだが、蒼菱を見れば答えはすぐに出た。
大きく横に振りかざした日本刀を握りしめながら固まる蒼菱を見て……。
刀をいなされて崩された体制のまま、ミージェのステッキよりも速い速度で反撃したのだ。
「…アナタ、思った通り。やるわね」
ステッキを再び左右に振り動かしながらミージェは冷や汗を一筋流す。
その彼女の服の腹の部分には、小さく、しかし真っ直ぐに裂けた箇所があった。
「あの時のアナタの眼を見てなかったら、お腹に傷が入っちゃうところだったわ」
「ふふ。眼を見ただけでかわされるとは…思わなかったわっ!」
ミージェに返答し終え、すぐさま刀を構えて突っ込んでいく。
ミージェもそれに反応し、ステッキを大きく振って迎え撃った。
高く鋭い接触音を連発させながら、お互い一歩も引かずに攻防を続ける。
「弐技(にぎ)…」
「…!?」
蒼菱は小さく呟き、ミージェはそれを聞き逃さなかった。
「『乱裂斬』(らんれつざん)!!」
技名を口にすると、蒼菱の刀を握る右腕が素早く、そして乱暴に振られ、刃(やいば)は風を幾度となく切り裂いた。
あらゆる方向から飛んでくる銀の刀身の動きに眼を見開き、ミージェの表情が強張る。
右から迫る刀身に、すぐさまステッキを叩きつけてとめに入る。…が、力任せに振るわれる刀をとめきれず、ステッキを握った手が弾け飛ぶ。
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