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目視する事が出来ないほどの剣速で放たれた居合い切りに眼を見開き、固まった状態のミージェは現状を理解できるほど頭が回復していない。
それを見るなり、鞘に収まっている日本刀を握りしめ、一気にミージェに突っ込む。
「……っ!!」
少し遅れて反応したミージェは、すかさず体をひねり、床を蹴って蒼菱から離れようと試みる。
が、蒼菱の方が速く、鞘から抜かれた銀の刃がミージェを切りつけた。
「くっ!」
寸前でさらに体をひねったミージェはかわそうとしたが、左上腕から血飛沫が舞った。
それを見て、俺は自分の表情が険しくなり、拳を握ったのがわかった。
(浅いか…!)
「まだまだぁ!!」
距離をとったミージェに追い討ちをかけるように駆け出し、刀を水平に、風を切り裂いてミージェに迫る。
蒼菱の眼前に、ミージェの握られていた棒の部分が飛んできた。
「―!?」
即座に首を動かしてよけた蒼菱は、一瞬ミージェから飛んできた棒に眼が移り、ミージェを視界から外した。
「コッチよ」
と、静かにミージェは口を開き、蒼菱は眼を見開いた。
蒼菱の左側に素早く移動したミージェは両手に鳳力を集中させ、新たに武器を作り出した。
それは、青白く、そして 重い圧感のある、巨大な棍棒。
両手で握り、大きく、太い先端部を振りかぶるミージェを蒼菱は眼を見開いたまま捉え、嫌な汗を顔に伝わせる。
そんな蒼菱に向け、大きな風切り音とともに棍棒は振り下ろされ、固い床を叩き砕いた。
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