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「なっ……」
とてつもない轟音の後、ミージェの愕然とした表情が見えた。
「………」
舞い上がる灰色の破片たちの中に、刀身を斜め下にして両手で日本刀を握って構えている 蒼菱の姿があった。
まさか…あのデケー棍棒を あの細い刀でいなしたのか…?
蒼菱の姿を見たミージェは、すぐさま後退し、巨大な棍棒からさっきまでのステッキに形を変えて構える。
「……くっ…」
突然苦しそうに声を漏らした蒼菱は、構えた刀を下ろし、ふらついている。
両腕、両足が大きく震えており、今にも倒れそうな様子だ。
(咄嗟の事で完全にいなせなかった…受け止めた腕と踏ん張った足に力が入らない……)
蒼菱は震える手でなんとか刀を握っている状態だが、眼の光は灯っている。まだ諦めていない。
「見上げた根性ね。舞葉ちゃん」
ミージェはステッキを構え、微笑んだまま言った。
フッと小さく笑みを零し、ミージェはステッキを下ろした。
「……?」
その様子を見て怪訝な顔した蒼菱をよそに、ミージェは口を開いた。
「…もういいんじゃないのぉ?隊長さん」
どこに向かって放ったのかわからない言葉を耳にし、蒼菱はピクリと反応した。
「も~。もう少し見てみたかったのにぃ、勝手に止めちゃダメだよミージェちゃん」
途端に、訓練場内にシーリンさんの声がアナウンスのように響き渡った。
「だってあの娘強いんだもん。このままじゃ本気になっちゃうわよ?」
「それはマズいね。じゃあ、ここまでにしようか!舞葉ちゃん、お疲れ!お終いだよ!」
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