4179人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
シーリンさんが終了を宣告したのに、何故か蒼菱は戻ってこようとしない。
刀を握ったまま、黙って立ち尽くしている。
……おい、まさかお前もか?
「蒼菱さ~ん。終わりましたよ~」
試しに蒼菱を呼んでみる。
「………納得いかない」
ああ…お前もか…
「蒼菱ぃ。終わったんだから戻ってこ~~~い」
「まだやれるわよ!!」
こっちに背を向けたまま蒼菱は声を張り上げ、収まらない闘志を剥き出しにする。
「舞葉~!はよ戻ってきぃやぁ!終わったんやで~!!」
波瑠…お前が言うのはどうかと思うのだが…?
「……もぅ…わかったわよ」
少し考えたのか、しかしすぐに諦めたのか蒼菱は刀を鞘におさめ、クルリと体の向きを変えて歩き出した。
「………ミージェ!」
「…?」
戻っていく蒼菱の後ろ姿を見つめていたミージェに、少し悩んだが声をかけてみた。
「あら、どうかしたの?勝矢くん?」
その名前の呼び方…誰かに似てる気がするんだが……
「あ~……腕、大丈夫か?」
言葉に若干詰まったが、とりあえず何か話さなくてはと思い聞いてみる。
すると、それを聞いたミージェは驚いたのか一瞬眼を見開き、すぐにクスリと笑った。
「大丈夫よ~! 聞いた通りの子ね、勝矢くんは♪」
「聞いた通り……ミージェ、フルネームは?」
「ミージェ・アラム。アナタの知ってる、ミリー・アラムの姉よ♪」
それを聞き、居心地の悪いモヤのような物が一瞬で消え去った。
言われてみりゃあ…確かにミリーに似てる。つか、髪型以外はそっくりだな。
最初のコメントを投稿しよう!