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(腕を覆った装甲を…衝撃だけが突き抜けてきた。あの攻撃は"芯"にくる。装甲でガードしても意味がない、か……)
「………」
押さえている腕を離し、鋼輝の拳を受け止めた、まだ痛む自分の腕に視線を落とすディング。
やがて視線を構えている鋼輝に向け、痛む腕に力を入れて拳を握る。
「………ッ」
姿勢を低くして床を蹴った鋼輝は、ディングめがけて突進する。
右手を固く握り、左手を全開に開いて一直線に駆けていく。
「……フッ!」
勢いよく息を吐いた鋼輝は、固く握った右手をディングの顔めがけて横から素早く振るう。
ディングは硬い甲に覆われた左腕を構えて拳をガードするが、視界の端に迫る掌を捉え、すぐさまそれを右腕で防いだ。
「…ッ!」
眉間にしわを寄せて表情が固くなり、腹に一直線に飛んできた掌を防いだ腕に電気のような痛みが走るが、ディングは耐えた。
「――ンッ!!」
鋼輝は休む事なくそれぞれ違う形をした両手を様々な角度から繰り出し、ディングは息つく間もなく迫る右拳と左掌を防ぎ続ける。
だが、ディングの腕には着実にダメージは与えられていく。
主に内部にまで響く掌底によるダメージが殆どで、拳は怯んだ所に体の各急所に的確に飛んでくる。
「……ッツ!」
スピードが一枚上の鋼輝から距離を取るため、ディングは後ろに大きく下がる。
だが、それを許さないと言わんばかりに鋼輝が後に続く。どこまでも追い詰めて標的を潰す。それが鋼輝の迫連拳。
…少し前、俺もやられたなぁ……イヤな記憶思い出しちまった…
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