力試し

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「フー…フー…」 口に溢れる血を吐き捨て、乱れた息を少しずつ整えていく鋼輝。 その様子を見据えながら、ディングはゆっくりと構える。 (………ダメージを受けすぎた。腹にもらったのはまずかったな…足にき始めてきた) 鋼輝は自分の足に視線を落としながらも、着実に呼吸を落ち着かせる。 (…無駄に長引かせれば、やられるのはコッチだ。………) 「フーー……!」 大きく息を吐き出し、両手を拳にした鋼輝は、両手とも脇をしめて引き、前傾姿勢をとっていつでも突っ込める体制に入る。 途端に、鋼輝の纏っていた雰囲気が重く、険しくなる。 「………」 鋼輝の雰囲気を感じとったディングも、さらに腰を落として構えを固める。 お互いがピタリと動かなくなり、訓練場内の空気が張り詰めていく。 両者が互いを見据えながら、身動ぎ一つしない。 その時、 ―ダンッッ!! 強く床を蹴り出し、鋼輝は姿勢を沈めて突進していく。 赤みがかった長髪を靡かせ、標的に向かって一直線に駆ける。 ディングは素早く装甲に包まれた腕を構え、足幅を広げて踏ん張った。 「………」 その姿を見て、灰色に包まれた空間を突き抜ける鋼輝は拳を解き、平手に切り替えた。そして 「【崩掌撃】(ほうしょうげき)!!」 鋼輝は硬い装甲に覆われた両腕めがけて両手で掌底を繰り出され、それらが直撃する。 「ッ!グッ!!」 途端に呻き声を上げたディングは、苦痛に顔を歪めた。そして、掌底を受けた両腕がダラリと垂れ下がる。 そんな彼の懐に潜り込んだ少年は、そこで小さく 呟いた。 「…【双衝砕】(そうしょうさい)」
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