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「…で、でもあれは!エルシアを守れるほどの力があるかどうかの、力を見るための……」
「あ、あれ?ただちょっと早く勝矢くんの力がどれほどか気になっただけ♪…あと、エルシアちゃんが崖から落ちて大怪我したっていう話。あれ、嘘だから♪」
「………は、はぁっ!?」
「勝矢くんを本気にするための作り話さ。ボクがエルシアちゃんから眼を放すわけないだろ?一度見失ったって、どこにいるかなんてボクならすぐに見つけだすよ。例え地球の裏側でもね♪」
「…………」
………ああ、今、本気であの人をぶん殴ってやりたいって思った。
次あったら殴る。絶対殴る。
「と、いうわけだからさ。みんなお疲れ~♪」
何が「と、いうわけだからさ」だよチクショウ!!俺のやる気を返せバカヤロー!!
「ヌゥゥゥ~……!!」
「まあいいじゃねえかよ勝矢。疲れなくて楽じゃんか」
「そりゃそうだけどよぉ…………クソっ」
どうこう言おうと、何も変わらんだろう。
チィ、潔く諦めるか……
と、その時―――
俺たちがいる訓練場の天井の、一つの灰色の板が 音を立てて開かれ、そこから何かが重い音を立てて床に落ちてきた。
――――――
数分前―――
「は~~~、暇ねぇ…」
長く息を吐き出し、呟きながら長い廊下を歩く、一人の人物。
その人物は、綺麗な衣装を着飾り、キラキラとした装飾品を付け、どこか気品に満ちた雰囲気を漂わせている。
「暇だわ~…また落とし穴でも作ろうかしら」
天界の王、サイレスの一人娘、キサリである。
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