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なんの迷いもなく、キサリは青色のボタンを指で押した。
カチンとボタンが沈んだと同時に、
―ギギギッ…!
錆びた金属が擦れた音とともに、ゆっくりと黒いそれが動き始めた。
その様子に驚いたキサリは、慌てて停止ボタンと思われる赤色のボタンを押そうとした。
――が、
「…あっ!!」
慌てた事により手元が狂い、何故か、白色のボタンを押してしまった。
途端に、黒い鎧を青白い光が包み込み、弾けるようにしてその場から消えた。
「…………」
しばらく無言でその場に立ち尽くしたキサリは、やがて、
「し、し~らない……」
そんな言葉を残し、キサリは早足で部屋から出て行った。
その現場を見た者は、誰もいない―――
――――――
「ふ~~……」
しばらく同じ体制で座っていたため、息を吐いて肩の力を抜き、座っているイスの背もたれに体を預けた。
見つめる先には、訓練場の様子を映しているモニター。
「…いや~、選抜者の人間は、みんな強かったな~」
モニターから視線を外し、白い天井に顔を向けたシーリンは、独り言を呟く。
「勝矢くんの戦いも、もう一回見てみたかったけどな~、まぁ、しかたないか」
座っているイスから立ち上がり、グーッと伸びをしてモニターの電源を消そうとした。
その時、モニターの向こう側から、大きな音がモニター越しに聞こえてきた。
「…!?」
何事かとすぐさまモニターに視線を移したシーリンは、驚愕して体が固まった。
「……な、なんでアレが…訓練場に……」
――――――
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