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――――――
「な、なんだ…!?」
扉を開けようと手をかけた瞬間に、後ろから重量感ある物が床に落ちる大きな音が、訓練場に響き、床がビリビリと揺れた。
慌てて後ろに振り返ってみると、訓練場の中央辺りに砂埃のような物が舞い上がっていた。
「なんか、落ちてきたみてーだぞ!?」
「見ればわかるわい!」
風羅の驚きの声に、すぐさま波瑠が反応した。
鋼輝も蒼菱も、何事かと砂埃の立つ中央に顔を向ける。
やがて砂埃は薄れていき、落ちてきた物の全体像がはっきりしてきた。
「………あれは…」
砂埃の中から現れたのは、黒いゴツゴツした塊。
砂埃が完全にようやく晴れ、塊の姿がわかった。
「…よ、鎧…?」
黒く、大きな鎧。遠くからでもよくわかるほどに傷だらけで、いたるところに錆が目立つ。何より気になるのは、
あの鎧から放たれている、異様な雰囲気。
「勝矢くんッ!!」
スピーカーから、シーリンさんの声が聞こえてきた。珍しく、なにやら慌てている様子が伺える。
「ど、どうしたんスか!?」
「早く訓練場から出るんだ!早く!」
「は、はぁ…!?」
シーリンさんの言いたいことがわからず、困惑する俺。
「その鎧は!戦士を育成するために開発された魔人を仮想した鎧なんだ!」
「そ、それが一体……」
「その黒い鎧は一番最初に開発された初号物なんだ!だけどそれは失敗作で、一度スイッチが入れば暴走してしまう!
その鎧で昔、練習していた天使が何人も重傷を負ってしまったんだ…!」
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