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後頭部から生暖かい液体が流れ出ている俺の頭をさらに押さえつけながら、鎧がギシリと動くのがわかった。
真っ暗で何も見えない。けど、このままじゃヤバい。早く、早くこの手を外さねーと……!!
「ダリャアァァァ!!!」
―ガシャァン!!
気合いを込めたような叫び声に続き、大きな衝突音が俺の耳に届き、視界が急に明るくなった。
何が起きたのかわからないまま、誰かが俺の体に触れたのがわかった。
「勝矢!大丈夫か!?しっかりせぇ!!」
波瑠だった。
波瑠は俺の上半身を抱え上げ、心配の色をした顔で覗き込んでくる。
視界の端で、茶髪の男が床に着地している姿が見えた。
「風羅…波瑠」
「大丈夫か勝矢!?」
駆け寄ってきた風羅も心配した表情で駆け寄ってきた。
「ありゃあヤバすぎる。さすがのお前もどうなるかわかんねえ。手伝うぜ勝矢!」
「ウチも手伝うで!?」
風羅に続き、波瑠もそんな事を言ってきた。
…気持ちは嬉しいけど……
「二人とも…さがってろ」
頭から血が首筋に流れ落ちながら、俺は波瑠の手を離し、ゆっくりと立ち上がった。
顔に流れてきた血を腕で拭い、床に倒れている鎧の方に向く。
「し、勝矢?」
「心配してくれてサンキューな。でも、大丈夫だ」
俺の言葉に続くように、鉄の擦れ合う音が聞こえ、黒い鎧が起き上がり始めた。
「あれは…俺一人でぶっ潰すからよ…!」
そう言葉を吐いて両拳を揃えるように叩きつけ、俺は鎧を睨みつけた。
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