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パンチの衝撃に僅かだが力を緩めた腕から落下した俺は地面に着地し、その場から後ろに下がる。
頭と口元から流れてくる血を腕で拭い、乱れた呼吸を整える。
霞む眼に力を入れて無理やり見えるようにし、さらに一歩後ずさる。
血が止まらない以上、無闇に動けば気を失っちまう。悪ければ死ぬ……
死ぬのは洒落にならんが、マジで可能性がないわけではない。
一瞬でも気を抜けば、間違いなくご臨終になっちまう…
気を引き締めなくては……
「―ッ!」
床を強く蹴り、体を倒した状態で突進してくる鎧をみて、すぐさま身構える。
俺が弱ったと思った途端に力が増しやがったからな…結構頭いいぜ…
「クッッ!」
一直線に突っ込んでくる鎧を横にかわし、体勢を整えて鎧の方に体を向かせる。
方向転換して再び突っ込んでくる鎧の左斜め下にしゃがみ込み、すれ違いさま右拳を胴に打ち込む。
「うぅ…っ」
頭がクラクラする。引き戻した意識がフワフワし始めた。
一瞬足がもつれ、体勢が崩れた所に、二つの赤い光が灯る顔部分がコッチに向いた。
―ガコンッ!
「!?」
はめられていた物が外れるような音とともに、鎧の顔の下半部、口の部分と思われる所が縦に割れた。
――瞬間、青色の光が灯り出し、割れ目の所に集まりだした。
(ま……まさか、それまでコピーしてんのか…?)
驚愕し、体が硬直する俺めがけ、
蒼色の大砲の如き光線が、豪快な音をたてて弾き出された。
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