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巨大な爆発から発生した爆煙と爆風が、訓練場内を猛烈な勢いで駆けめぐり、扉付近にいた選抜者四人は呻き声をかき消されながら、襲いかかるそれらを顔の前に腕をかざして耐えていた。
「ぐっ………し、勝矢は!?」
弱まってきた所で、風羅はすぐさま爆発の元となる場所に眼を向けた。
まだ煙が濛々と立ち上がり、その場がどうなっているのかはわからない。
そんな中から、
「ぐっ……アアッ…!!」
痛みをこらえるような呻き声が聞こえ、風羅はその声が誰の物かすぐにわかった。
「勝矢!!大丈夫か!!?」
まだ見えてこない煙の中にいる少年に声をかける。だが、すぐには返ってこない。
ようやく、立ち上がる煙が薄れていき、現場がハッキリしてきた。
その中心で、うずくまって動こうとしない黒い影が見えてきた。
「う……あぁ…」
勝矢である。
しかし、彼の顔は激しく歪み、食いしばる歯がむき出しになるぐらいになっていた。
そんな彼が見つめる先には、赤黒く焦げ、赤い液体が噴き出る自分の右腕があった。
「体勢崩してたから、よけきれなかったんだ……」
「勝矢…!!」
風羅と波瑠は、心配の表情をいっぱいに浮かべている。
蒼菱は、苦痛に歪める勝矢の顔と色を変えてしまった右腕を見つめ、言葉すら出ず、ただ心配の色合いをした瞳を向ける。
「…………」
しかし鋼輝が見つめる先は、勝矢ではなく、光線を放った割れた部分から煙が上がっている、黒い鎧。
そんな彼の右手は、固く握られており、いつでも行ける様子を見せている。
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