第一章 クリトピエム

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「…………」  という妄想だった。  俺はすぐに引き返そうと回れ右をした。  そしてドアノブを捻ろうと手を伸ばし、何故かごつごつした何かとぶつかった。  何だろう、と目を凝らすまでもなくそれは石で出来た壁だった。  ドアノブどころか、ドアがなかった。 「…………は?」  いつから俺の家は石造りになったんだろうか。いつから俺の部屋は、壁を壊さないと入れなくなったんだろうか。  いつの間にか壁どころか床も天井も石造りにリフォームされている不思議に首を傾げつつ、俺は再度回れ右をする。  相変わらず、金髪の女の子は立っていた。  それも何やら、かなり不機嫌そうだった。  そこで俺は思い出す。ああ、そうだ、すっかり忘れていたと。  その女の子は俺の妹だった。
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