†近づかない距離†

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とても叶う恋とは到底思えなかった。 端から見たらとても滑稽で無謀な事だと思えただろう。 それにその頃私が住んでいた場所は林檎畑とたんぼしかないような田舎だったためそんなことを口にしたら鼻で笑われるのが目に見えていた。 そのため、誰にも言うことができず親にさえ隠していた。 友達にもあくまでファンだというフリをした。 ボイストレーニングを受けるためにオーディションを受けていた友達には話したがその友達も引っ越してしまいお互い忙しく連絡を取ることもなくなってしまった。 届かない想いと誰にも言えない苦しみが心の中で葛藤して情緒不安定にしていた。 そして、私はRyutoを追いかけているうちいつのまにか同じステージに立ちたいと思うようになりアーティストを目指すようになっていた。 多分、引っ越していった友達の影響もあるのだと思う。ボイストレーニングを受けたいといっていた彼女はとても眩しく見えたから。 しかし、オーディションで一次審査を通過しても二次審査は必ず事務所のある都内でと言うことになる。 私の住んでいる青森からでは都内までだと時間も費用もかかる。ましてや親にも隠していたことだったのでできるだけ穏便に済ませたかったのでその時、一次審査を通過していた事務所を悩んだ末断った。 オーディションさえ行くのが困難な私がRyutoの隣にいることはその時点ではありえない事だった。
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