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翌日から仕事は始まったけれどなかなかついていけず落ち込む日々が3ヶ月ほど続いた。
同じ日に名古屋に来た志織さんとも結局、相部屋になったけれど意見がすれ違うようになりアーティストを目指していたのになかなか進展しない現実にも押し潰されそうになっていた。
暴飲暴食を繰り返すようになり、誰にも相談できずにボロボロの状態だった。
唯一、自分に優しくしてくれた人といえば商品の勧誘をしていた販売員さんぐらいだった。
そんな日が続いたある日に会社の人に近くの居酒屋に誘われた。
その頃、一緒にいてくれるようになった同じ青森出身の先輩達だった。
それからは長く勤務しているパートの人達も理解してくれるようになり、先輩達に連れていってもらった居酒屋にも通うようになった。
その居酒屋のマスターは歯に衣きせむさっぱりした感じの人で優しく笑う年齢の割に若い爽やかな印象の方だった。
私はお酒の勢いで饒舌(じょうぜつ)になりよく相談に乗ってもらったり、突っ込まれたりしたものだ。まるで父のようだった。
とても居心地が良くて日付が変わった頃に寮に帰ることが多くなった。
精神的に余裕も出るようになり、改めてRyutoに近づくためにオーディションを受けることにした。
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