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胃の痛むような時間が始まりました
「それでは、今期の勇者対策会議を始めます」
広い会議室にいるのは
私めとインキュバス様以外に数体の魔物の方がたでございます
皆様、さすがにこういう会議に出るだけあって
貫禄というか威厳というか
その様なものが溢れ出ておられます
紹介されている間そんな方々の視線に晒され
私めはひたすらびくびくするしかありませんでした
ただその場の方々が皆様優しかったのが救いでございました
孫を見る祖父母の様な眼差し…とでもいいましょうか
私めの様なスライムが場違いに居るというのに
蔑むことなく扱って下さるとは……
高レベルの冒険者とは比べものにならないくらい
度量の広い方々だと思います
「しかし、対策と言ってものぅ……。
前と同じではいかんのか?」
そうおっしゃられたのは隻眼のドラゴナイト様です
髭にところどころ白いものが混じっていらっしゃいます
たしか、今年で千三百歳になるはずでございます
先々代の魔王様からずっと仕えていたと記憶しております
「ええ。初めの段階ではそれで良いでしょう。
ですが魔王様が出奔されましたので……」
苦虫を噛みつぶした様な表情のインキュバス様に対し、
ドラゴナイト様も苦笑を浮かべられました
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