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私めが心を彼方に飛ばそうとしていると
魔王様はまったく別の話をし始めました
「魔王という仕事はいいぞ。権力にものを言わせてやりたい事をやれる」
「……はあ」
「しかしだ、その代わりに自由がない」
……これ程自由に生きられている魔王様に自由がないのであれば
世界のどこにも自由が存在しない気がいたします
「俺も護衛とは名ばかりの監視がいない生活を送ってみたい」
「はあ。ですが魔王様の場合、護衛とパシリが同じ意味だった気がいたしますが?」
「当然だ。だがパシリでも、終始付け回されたらうっとうしいもんなんだ」
………嫌な予感しかいたしません
私めが人の姿に変身していたなら
きっと口元が引き攣っていたことでしょう
「というわけで、自由を満喫したいからしばらく俺の代わりに魔王になれ」
……今すぐ逃げ出したい
そう思いましたが、
以前そうしようとしたら一月ほど足置き代わりにされた苦い記憶が蘇りました
ただのスライムたる私めには
初めから拒否権などないのでございます
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