スライム、影武者になる

6/6
前へ
/36ページ
次へ
私めの憂鬱には気づかずに、魔王様はにんまりと満面の笑みを浮かべているのでございます 「よし、これで準備は整ったな!」 ああ、これからどうなるのでございましょうか これからの事を考えると目の前が真っ暗になる気がいたします そんなこの場に現れたのは 魔王様のお目付け役たるインキュバス様でございました きっと魔王様が呼び出していたのでしょう インキュバス様の表情も冴えません 私めと目が合うと お互いにお互いの境遇を憐れむ視線でございました 同類相憐れむというやつでございます 「インキュバス、俺はこれからしばらく日々の疲れを癒してくる。 代理にこいつを置いていくから、俺の仕事はこいつにやらせとけ。 わかったな?」 「……………御意」 言いたいことは沢山あるのでしょうが 魔王様には言うだけ無駄というものです せめてもの抵抗に返事をするまでに間を持たせたのでしょう インキュバス様は疲れた表情をしておいででした こうして、 私めの影武者生活が幕を開けたのでございます
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加