始まりの朝

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――と、いつまでもそうしていられるわけでもなく。 じっと暫く見ていたが、総司は表情を苦々しくこわばらせていった。 横にいる碧にゆっくりと向きやり、呻く様に総司は言う。 「君のせいですよ……」 碧もまた総司と似た様な表情を浮かべ、向く。 「あれは……事故よ。結果的には何事もなかったんだからいいじゃない」 「どこがです。君ね、普通局長の頭殴り倒しておいて、ただですむと思っているんですか?」 「すんだじゃない。記憶喪失という形で。うん、結果オーライだわ」 「おおらい?」 覗き込んで聞いてくる総司に――ぴっ、と人差し指を立ててにっこりと碧は答える。 「えーと、終わりよければすべてよし! みたいな」 みるみる力が抜け、肩が落ちていく総司。 この調子だと、碧より自分の方が先に根をあげるかもしれないと不安を抱え、 「ああ、怒る気にもなれない……もう、どうしてたかだか食器洗うだけで、こんなに心身共に疲れなくてはいけないんですか。まだまだ仕事はあるというのに……」 「えっ? まだあるの?」 「何を寝ぼけた事を言っているんです。掃除に洗濯、買い出しに食事作り、その他もろもろ雑用といくらでもありますよ」 「ええ!?」 「次、ここ終わったら洗濯ですからね」 「何この家事地獄!?」 碧と総司は一気に生気を抜き取られたような感覚に、お互い襲われた。
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