出会い

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根岸紗胡。15歳。高校1年生。それは、夏休みも明け、9月に入ってすぐの頃だった。 バスケ部の先輩に熱を上げている恵梨に誘われ、放課後、体育館の2階のギャラリーから、部活に勤しむ人々の姿をボーッと眺めていた。 「やっぱカッコイイ♪路田(みちだ)先輩♪紗胡?見た?今のシュート!」 瞳を煌めかせながら、絶叫する恵梨。 テンションの上がらない私に、恵梨は言う。 「ねぇ?紗胡は誰かカッコイイとか思う人いないの?夏に別れたばかりじゃ、やっぱ、すぐ、次ってわけには行かないか・・?」 ・・・・・・・。 今年の夏休みに、中学の頃から付き合っていた幼なじみの圭太と別れたばかりの私は、ここ最近、なんだか活力の湧かない空虚な感じを抱いていた。高校進学と同時に、私が両親の転勤で神奈川から福島に引っ越したのをきっかけに、圭太とは、遠距離恋愛という形になってしまった。しばらくの間、電話、メールのやりとりはしてたが、今年の夏まで1度も会えず、些細なことで喧嘩するようになり、そんな付き合いに耐え切れなくなった私は、結果、この夏休みに別れを告げてしまったのだった。 返事に困っている私をよそに、恵梨は、バスケ部に夢中になっている。ふと、私の瞳に飛び込んで来たのは、空手部の練習風景だった。 私達が今いる第1体育館から空手部が使用している第2体育館も見える。 私の瞳に飛び込み、離せなくしてしまったのは、同じクラスの男子の姿だった。普段、あまり、目立つタイプではなく、イケメンというタイプでもないのだが、その、練習をしている姿は、なんだか輝いていた。普段、教室で見る彼とは、全く別人のようであった。 恵梨にそろそろ帰ろうっかと声をかけられ、やっと我にかえる。 帰ろうかと玄関まで来た所で、教室に忘れ物をしたことに気づき、恵梨に伝え、一人、教室へ。 教室へ行くと、先ほど、体育館で練習していた彼が着替えていた。
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