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私は頷いた。
彼が私を抱きしめた。
私も彼の背中に手を回し、彼の胸に顔を埋めた。香水?多分…クールウォーター?の良い香りがうっすらとした。あんなに苦しかった胸のドキドキも、今は、心地よく感じられる。
「そろそろ送るよ。」
しばらくして、彼は言った。
「うん。」
私の家は、飛永くんの家から学校方面に5分ぐらい歩き、角を右に曲がり、さらに15分ぐらい歩いた所だ。
遠いから、角までで良いと、飛永くんには言ったが、夜9時を回っており、暗いから、家まで送ると言ってくれた。
今夜は、星がとてもきれいな夜だった。
「明日も晴れればいいな~。」
彼は言った。
「紗胡ちゃん、明日の夜空いてる?」
「うん。」
「明日、大水たちと天体観測会の予定なんだ。来れる?」
「うん。行く!」
私は答えた。
「良かった…。断られたらどうしようかと思った。」
そう言って彼は、笑った。
その後も、家に着くまで、いろんな話をした。星座のこと、大水くんのこと…。携帯番号も交換した。
家の前に着くと、また、彼は私を抱きしめた。
そして、また明日と言って別れた。
部屋に戻ると、携帯が鳴った。彼からの着信だった。
「紗胡ちゃん?ごめん…。もう少し話したくなって(笑)」
電話に出ると、彼は言った。
「私の方こそ、遠いのに送ってもらっちゃってごめんなさい。」
「そんなの気にしないでよ。これから毎日だって送り迎えしてもいいぐらいだし(笑)好きだよ。紗胡ちゃん。」
「私も飛永くんが好き。」
そんな、他愛もない話を、飛永くんが家に到着するまでした。
「今、やっと部屋の中に着いたよ。今日は、ありがとうね。楽しかった。大水にも感謝しなきゃなぁ。」
「私こそありがとう。私も楽しかった。」
「じゃ…。明日、夕方迎えに行くから。電話するね。じゃ…、おやすみ、紗胡ちゃん。」
「うん。おやすみ。」
そう言って、電話を切った。そして、眠りに着くまで、ずっと飛永くんのことを考えていた。
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