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他に人はいなく、彼だけだった。
頭を振り、汗を飛び散らせながら、シャツを脱ぎ、上半身裸になっている彼に、夕陽が当たり、良い感じに輝いている。その姿に、ドキッとし、また、目が離せなくなってしまっている私がいた。その私の視線に気付き、顔を上げた彼と目が合い、咄嗟に私は目を伏せた。
沈黙が流れる……。
その沈黙に耐え切れなくなり、私は、口を開いた。
「あ…、あの…。ごめんなさい…。ちょっと、忘れ物しちゃって……。」
「あ…。そう…。」とだけ、彼は言い、着替え終わったようで、教室を出て行こうとした。
「あ…、あの…。」
咄嗟に、私は、声をかけていた。
驚いたように彼は振り向き私を見た。
必死で私は、言葉を探し、言葉を続ける。
「あ…、えっと…、その…。あの…。さっき、友達に誘われて体育館行ってたんだけど、それで、その…、…飛永くんが、練習してるの目に入って…。なんか…、その…、カッコイイって思ったっていうか…。あの…、特に深い意味はないんだけど……。ハハハ……」
っと笑ってごまかしてみる……。
彼は、頭をかきながら、
「…。ありがとう…。」
と答え、私を見た。
私は、何か話さなきゃと、
「じゃ…、帰ろうかな…。なんか…。用もないのに、声かけちゃって、ごめんなさい…。」
といい、彼に、笑顔で手を振り、教室を出た。
彼の名は、飛永翼クン。
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